卓上で極める射出成形

INARI M06 / M12は、日ごろ研究開発に取り組む方々に、じっくりと卓上で成形できる環境を提供したいという思いから誕生した製品です。これまで射出成形機と言えば、何十トンにも及ぶ大型機械を意味しました。これには大がかりな金型が必要ですから、消えてしまった「ちょっとしたアイディア」も少なくないはずです。INARI なら、卓上で静かに、しかも、現場の方の手を煩わすこともなく、じっくりと成形に向き合うことができます。INARIは2017年に発売され、既に射出成形の試作をする方々にとってスタンダードなツールになりつつあります。研究開発の方々が内に秘める「ちょっとしたアイディア」が実現され、数々のものづくり革命が生まれることを、私たちは確信しています。
開発ポイント
画期的な射出構造を実現
一般的な射出成形機は、溶けたペレットにプレスシャフト(押し出し棒)を直接接触させて押し出す構造。これに対して「INARI」では、溶けていないペレットを介して溶けたペレットを押し出す独自の構造を開発。
この方式により、プレスシャフトに材料が絡みつくのを予防するほか、溶けたペレットと空気中の酸素を隔離することで材料の変色を防ぐこともできる。射出成形の構造から見直すことで、高いメンテナンス性と機能性を実現した。
型への負担を軽減する設計
一般的な手動射出成形機は、成形時にシリンダーを型に押し付けながら材料を注入する。この方式はプレスシャフトを押す力がシリンダーを介して型へ直接伝わるため、型に変形や破損が起こる可能性が高い。
これに対して「INARI」では、成形時に「型を押し付ける力」と「材料を押す力」が分離されるよう、新たな構造を採用。さらに型とシリンダー先端との接触面が大きくなるように考慮し、型への負担を軽減することに成功した。
分割式シリンダーで材料交換がスムーズに


分割式シリンダーは、ノズルとシリンダーパイプが分割できるため、内部に残った材料を簡単に除去可能。さらに、ブラスト加工・メッキ処理を施すことで材料の貼りつきを抑制。シリンダーの清掃が簡単になり、ストレスフリーな材料交換を実現する。
- 分割式シリンダーはオプション品です。
横置き型デザインでペレット供給もスマート

本体を横向きにすることで、ペレット供給時にプレスシャフトやフレームが邪魔にならないデザインを採用。これにより、ペレットを供給する際にシリンダーやプレスシャフトの位置を動かさずに済み、供給後の位置調整も不要に。供給口が高温にならない設計のため、供給時にペレットが溶けて付着する心配も払拭された。
型の位置合わせもクイックに完了


シリンダー先端の切欠きマークを目印に、上下方向、左右方向に動くガイドをそれぞれ調整することで、型の位置合わせがスムーズに完了。同じ型であれば成形のたびに位置調整をする必要もなく、より短時間でより多くの部品を量産することができる。
※ 左右方向の位置合わせガイドはオプション品です。
Engineer : Hidetoshi Gomi/Masanori Shibata
Editor : Keita Fukasawa
Photographer : Kota Sugawara
「INARI M06/M12」のご購入を検討されているお客様に向けて、見学予約を受け付けております。
■ 関連キーワード
小型射出成形機 / 家庭用射出成形機 / 自作射出成形機 / 小型プラスチック成形機 / マイクロ成形機 / 小型インジェクション成形機 / 小型インジェクションマシン / デスクトップ射出成形機 / 自宅用射出成形機
寸法図|INARI M06
外形寸法
シリンダー寸法
取付可能な型のサイズ
寸法図|INARI M12
外形寸法
シリンダー寸法
取付可能な型のサイズ
最大成形量の比較
製品構成

加工機本体

耐熱手袋
その他、ご用意いただくものについてはこちらをご覧ください。
仕様
INARI M06
INARI M12
成形実績のある材料
成形実績のある材料
PS・PP・ABS・POM・PA6・HDPE・LDPE・TPE・EVA・PBT
最大押出量
最大押出量
INARI M066cc
INARI M1212cc
加熱温度上限
加熱温度上限
270°C
加圧能力
加圧能力
ハンドルに70kg掛けると最大で約1トン
取付可能な型のサイズ
取付可能な型のサイズ
INARI M06厚さ70mm以下、高さ91mm以下 横のサイズは制限なし
INARI M12厚さ95mm以下、高さ116mm以下 横のサイズは制限なし
重量
重量
INARI M069.1kg
INARI M1215.5kg
電源
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力
消費電力
250W
外形寸法
外形寸法
INARI M06W:668.7mm
W ハンドル展開時:803.9mm
D:98.7mm
H:224.5mm
H ハンドル展開時:719.3mm
INARI M12W:1012mm
W ハンドル展開時:1204.3mm
D:111.5mm
H:278.9mm
H ハンドル展開時:1037.3mm
注意事項
- ページトップの製品写真には、オプション品の位置合わせガイドが取り付けられています。オプション品は標準では付属しておりませんので、必要な場合は別途ご購入ください。
- 改良のため、製品の仕様や外観は予告なく変更される場合があります。
- 実用新案登録済
- INARI M06の前モデルINARI F06はこちらからご購入いただけます。
「INARI M06/M12」のご購入を検討されているお客様に向けて、見学予約を受け付けております。
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小型射出成形機 / 家庭用射出成形機 / 自作射出成形機 / 小型プラスチック成形機 / マイクロ成形機 / 小型インジェクション成形機 / 小型インジェクションマシン / デスクトップ射出成形機 / 自宅用射出成形機
「INARI」の使い方
身近なプラスチック製品の大半に採用されながら、コストなどの面で小規模なものづくりには不向きだといわれてきた射出成形。「INARI」は、その射出成形機の構造を一から見直し、机の上でも使えるように開発された小型の手動式卓上射出成形機。自宅でも簡単かつスマートに射出成形を楽しむことができる、「INARI」の使い方をご紹介します。
用意するもの
- 「INARI」
- 耐熱手袋(キットに付属)
- 樹脂ペレット(こちらで販売しています)
- 型
■ 型の用意
■ 型の用意
型は「KitMill」で自作するほか、3D造形サービスなどでも作成を依頼することができます。
「KitMill」で自作する
「KitMill」を使えば、高精度で繰り返し使える型を短期間で作成でき、試行錯誤によって型の完成度を高めていくことが可能です。
切削性の良好な簡易金型材料「クレメタル」を使用することで、加工時の熱によって溶けることも少なく、「KitMill BS100/200」や「KitMill CL100」でもサクサク削れます。
金型を自作する場合にも、金型設計に関する技術資料は金型設計ルールのページをご参考ください。
型の作成を依頼する
「金型を用意できない」というお客様に向けて金型加工代行サービスをご用意いたしました。3Dデータをお持ちのお客様はもちろん、3Dデータをお持ちでないお客様もご利用いただけます。
または、「DMM.make」の3D造形サービス「DMM.make 3D PRINT」を利用すれば、3Dデータをアップロードするだけで、簡単に型の作成を依頼することが可能です。
1. 位置合わせガイドの調整
型の穴とシリンダーの穴の位置が合うよう、位置合わせガイドを調整します。
シリンダー先端にある切欠きマークを目印に、上下方向、左右方向に動くガイドをそれぞれ調整することで簡単に型の穴とシリンダー穴の位置合わせができます。
- 本製品に付属のガイドは上下方向のみです。左右方向に動くガイドを使用するには、オプション品の位置合わせガイドをご購入いただく必要があります。

2. ペレットの充填
ペレット供給口からペレットを入れ、ハンドルを操作してペレットをシリンダー内部へ押し込みます。この作業を数回繰り返すことでペレットを充填します。
ペレットが溜まってくると、充填されたペレットが圧縮され、ハンドルを押し込めなくなります。
この時のハンドルの角度で充填率を確認します。
▼ M06の場合
充填率 | 0% | ハンドルが-7度 |
充填率 | 50% | ハンドルが25度 |
充填率 | 100% | ハンドルが50度 |
▼ M12の場合
充填率 | 0% | ハンドルが-7度 |
充填率 | 50% | ハンドルが30度 |
充填率 | 100% | ハンドルが60度 |
体積4cc以下の成形であれば、ハンドルを押しやすい45度程度で成形を行うのがオススメです。
成形実績のあるペレットの材質については、こちらからご覧ください。


3. シリンダーの加熱
シリンダーを加熱し、シリンダー内部のペレットを溶かします。
設定温度はペレットの材質によって異なりますが、PP(プリプロピレン)、PE(ポリエチレン)で230℃、PS(ポリスチレン)で240℃程度が目安です。
ハンドルを倒してノズル先端から融けたペレットが出てくれば準備完了です。
出てきた樹脂は型を取り付ける前に取り除きます。


4. 型の取り付け
本体に型を取り付けて固定します。
加熱したシリンダーや型は高温になるため、必ず耐熱手袋を着用して作業を行います。

5. 射出
ハンドルを倒して、型に材料を射出します。
ハンドルをそれ以上押し込めなくなった後も、少し力を緩めて軽い力で3~5秒ほど押し続けます。
十分に材料が充填されたら、型を本体から取り外します。
射出後の型は高温になっているため、耐熱手袋を着用して作業を行います。

6. 完成
型から成形物を取り外し、不要部分を切り離して完成です。

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加工サンプル
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INARI 見学予約
「INARI M06/M12」のご購入を検討されているお客様に向けて、見学予約を受け付けております。当社スタッフから製品のご説明をさせていただいたのち、「INARI M06」を使用した成形を実演いたします。金曜日 13:30~15:00 の1時間半を1枠として、月2枠程度を目安に予約を承っておりますので、ぜひお気軽にお申し込み下さい。
キットの組み立てに必要な工具類
六角レンチ
2面幅2、2.5、3、4mmのものが必要です。(商品ページへ)
+ドライバ
No.2が1本必要です。
固定のために必要なもの
ねじ、またはクランプ
本体をテーブルへ固定するのに使用します。
(1)クランプを使用する場合(商品ページへ)
(2)木ねじを使用する場合......ねじ径3.8mm、頭径7.0mmのものをご用意ください。
(3)キャップスクリューやナベねじを使用する場合......M4サイズをご用意ください。
固定用の作業台
成形する材料によっては大きな負荷がかかる場合があります。作業内容に合った強さの作業台をご用意ください。
成形に必要なもの
型
型は「KitMill」で自作するほか、3D造形サービスなどでも作成を依頼することができます。
■「KitMill」で自作する
「KitMill」を使えば、高精度で繰り返し使える型を短期間で作成でき、試行錯誤によって型の完成度を高めていくことが可能です。
切削性の良好な簡易金型材料「クレメタル」を使用することで、加工時の熱によって溶けることも少なく、「KitMill BS100/200」や「KitMill CL100」でもサクサク削れます。
金型を自作する場合にも、金型設計に関する技術資料は金型設計ルールのページをご参考ください。
■ 型の作成を依頼する
「金型を用意できない」というお客様に向けて金型加工代行サービスをご用意いたしました。3Dデータをお持ちのお客様はもちろん、3Dデータをお持ちでないお客様もご利用いただけます。
または、「DMM.make」の3D造形サービス「DMM.make 3D PRINT」を利用すれば、3Dデータをアップロードするだけで、簡単に型の作成を依頼することが可能です。
テスト用の型は「DMM.make クリエイターズマーケット」で購入することも可能です。
ペレット
加工用原料となる粒状のプラスチック樹脂です。使用用途に合った特性のものをご用意ください。(商品ページへ)
プライヤー
型から成形品を引き抜く際に便利です。(商品ページへ)
ニッパー
ゲートの切断や成形品の形を整える際に便利。プラスチック用ニッパーをおすすめします。
(商品ページへ)
カッター or スクレーパー
型同士を引き離すときや、成形品の形を整える際に便利です。
冷却器
型やシリンダーを冷却する際に便利です。(商品ページへ)
必要性とメリットは以下のとおり。
(1) 型は連続で使用すると熱が籠もり、温度によっては寸法にも影響が生じます。型を冷やすことで正確な寸法を保ちながら、連続して成形を行うことができます。
(2) シリンダー内に残った樹脂を取り除く際、シリンダーを冷やして樹脂をある程度まで固化させることで、作業を素早く行うことができます。
予熱器
型を温める際に便利です。(商品ページへ)
必要性とメリットは以下のとおり。
(1) 型が冷たいと樹脂を流し込めない場合があります。金属型であれば型を温めることで樹脂が固まるのを抑え、型へのスムーズな注入を可能にします。
(※予熱器がなくても、型を成形機のシリンダーへ押し付けることで型を温めることは可能ですが、予熱器を使えば正確な温度で型を予熱できるため、成形の再現性が高まります)
(2) 金属型から樹脂を取り外せなくなった場合に、型を温め、樹脂を柔らかくすることで除去を可能にします。
(※状況によって、必ずしも取り外せるようになるわけではありません)
「INARI M06/M12」のご購入を検討されているお客様に向けて、見学予約を受け付けております。
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