空圧式射出成形機 INARI P35

創造力を解き放つ、月白の射成INARI

「INARI P35」はエアシリンダを駆動源とする空圧式射出成形機です。射出成形を気軽なものにするというコンセプトは手動式の「INARI」からそのままに、より安定した成形品質の実現と幅広い素材への対応を目指しました。
簡単なハンドル操作とスイッチ1つで、誰でも高品質な成形が可能。約2トンの加圧能力と最大320°Cの加熱温度を実現し、ポリカーボネートを含むエンジニアプラスチックの成形にも対応します。研究開発における試作用途から、新素材の成形テスト、プロダクトの少量生産まで、ものづくりのあらゆる可能性を拡張していきます。

開発ポイント

扱いやすいシンプルな操作性

「INARI P35」の操作は極めて簡単です。ペレットを投入し、型をセットしたらハンドルを手前に倒して、スイッチを押すだけ。複雑な操作を必要とせず、誰でも安定して高品質な成形が可能です。

予熱機能を完備した広大な型設置テーブル

卓上サイズのコンパクトな機体ながら、テーブルには 400mm × 183mm × 80mm もの型設置エリアを確保。大きな成形品をつくることができるため、デザインの幅が大幅に広がります。さらに、型の予熱機能を完備し、細やかな成形条件の設定が可能で高品質な成形が行えます。

エンジニアプラスチックの成形にも幅広く対応

「INARI P35」は、約2トンの加圧能力と最大320°Cの加熱温度を実現。ポリカーボネートを含むエンジニアプラスチックの成形が可能となり、幅広い素材でのものづくりに対応します。

新素材も気軽に投入できるシンプルな構造

一般的な大型の射出成形機に比べて構造がシンプルなので、材料投入時の大きなトラブルを心配する必要がありません。フィラー入り材料からペットボトルキャップのような廃プラスチックまで、様々な材料を気軽に投入いただけます。新素材の成形テストにも最適です。

樹脂型での成形を可能にする設計

一般的な射出成形機は、シリンダーを型に押し付けながら材料を注入します。この方式では、プレスシャフトを押す力がシリンダーを介して型へ直接伝わるため、型に変形や破損が起こる可能性が高くなります。

「INARI P35」は、従来の「INARI」シリーズの特徴である、「型を押し付ける力」と「材料を押す力」を分離する構造を引き継いでいます。この独自構造により、高い加圧能力を実現しながら、型への負担を最小限にとどめます。3Dプリンタ製の樹脂型でも成形が可能で、より気軽に成形がおこなえます。

Engineer : Hiroki Akitsu
Editor : Hibiki Yaegashi
Photographer : Kota Sugawara


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寸法図

外形寸法

シリンダー寸法

取付可能な型のサイズ

製品構成

INARI P35本体

耐熱手袋

安全ゴーグル

その他、ご用意いただくものについてはこちらをご覧ください。

仕様


成形実績のある材料


成形実績のある材料

汎用プラスチック:PS・PP・ABS・HDPE・LDPE・TPE・EVA

エンジニアプラスチック:PC・PBT・PA6・PA66・POM
PBT、PA6、PA66、POM は内径Φ10、Φ15 のシリンダーで成形可能。PC の成形はΦ10 のみ対応。

サステナブル材料:セルブレン・ライスレジン・LIMEX・PBS・酢酸セルロース樹脂


最大押出量


最大押出量

シリンダーの内径 Φ10: 8cc / Φ15:20cc / Φ20:35cc


加熱温度上限


加熱温度上限

320℃


加圧方式


加圧方式

エアシリンダによる空圧式
エアコンプレッサーが別途必要です


動作空気圧力範囲


動作空気圧力範囲

0.2MPa ~ 1.0MPa
推奨圧力範囲0.2MPa ~ 0.6MPa


最大加圧能力


最大加圧能力

約2トン


取り付け可能な型のサイズ


取り付け可能な型のサイズ

厚さ10 ~ 80mm まで


電源


電源

AC100V 50 / 60Hz


消費電力


消費電力

800W


本体重量


本体重量

100kg


シリンダーサイズごとの仕様

「INARI P35」の加熱シリンダーは交換式を採用しており、Φ10、Φ15、Φ20 の3サイズをご用意しています。使用する材料や成形品の大きさに応じて、適切なサイズのシリンダーをご使用ください。

Φ10(最大押出量:8cc)
最大押出量がを小さくなる分、面積あたりの加圧能力が高まります。ポリカーボネート(PC)などの極端に流動性の低い材料の成形に適しています。

Φ15(最大押出量:20cc)
押出量、加圧能力のバランスが良く、汎用性の高いシリンダーサイズです。ポリカーボネート(PC)の成形は困難ですが、その他ほとんどの材料を成形可能です。

Φ20(最大押出量:35cc)
最大押出量が大きくなる分、面積あたりの加圧能力が低くなります。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エラストマー(TPE) などの流動性の高い材料を使用して、大きな成形品をつくるのに適しています。

対応材料表

汎用プラスチック シリンダー内径
Φ10 Φ15 Φ20
PS
PP
ABS
HDPE
LDPE
TPE
EVA
エンジニアプラスチック シリンダー内径
Φ10 Φ15 Φ20
PC
PBT
PA6
PA66
POM
サステナブル材料 シリンダー内径
Φ10 Φ15 Φ20
セルブレン
ライスレジン
LIMEX
PBS
酢酸セルロース樹脂

成形圧力表

使用圧力(MPa) シリンダー内径
Φ10 Φ15 Φ20
0.2 96 43 24
0.3 144 64 36
0.4 192 85 48
0.5 240 107 60
0.6 288 128 72
0.7 336 149 84
0.8 384 171 96
0.9 432 192 108
1.0 480 213 120

単位:MPa


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「INARI P35」の使い方

工場にあるような大型機械を使用しなければ出来なかった「射出成形」。「INARI P35」はそれを卓上で、複雑な操作を必要とすることなく実現する、全く新しい射出成形機です。射出成形をこれまでになく気軽なものにし、試作や成形テストにも最適な「INARI P35」の使い方をご紹介します。

用意するもの

  • INARI P35
  • エアコンプレッサー
  • エアホース(1/4サイズのカプラー付きのホースまたは、外径Φ12のホース)
  • 耐熱手袋(キットに付属)
  • 樹脂の除去用スプーン(キットに付属)
  • スプルーブッシュ(こちらで販売しています
  • 樹脂ペレット(こちらで販売しています

INARI P35 で使用可能な型

型は、金型のほか、3Dプリンタなどでつくった樹脂型を使用できます。樹脂型で成形する際は、オプション品の「モールドベース」に収めて使用することで、型の変形や破損を防ぎ、成形品質が高まります。
また、金型を使用したいけれど用意するのが難しいというお客様に向けて、「金型製作代行サービス」をご用意しております。3Dデータをお持ちのお客様はもちろん、3Dデータをお持ちでないお客様もご利用いただけます。

アルミ金型

3Dプリンタ製の樹脂型とモールドベース

スプルーブッシュの準備

スプルーブッシュを型に取りつけることで、「INARI P35」のノズルと型の注入口が密着し、成形がしやすくなります。ノズルタッチR10.5のものが対応しています。

スプルーブッシュ(商品ページへ

スプルーブッシュを取りつけた型での成形

1. エアコンプレッサーの接続

「INARI P35」とエアコンプレッサーを、エアホースで接続します。接続後、エアコンプレッサーの電源を入れ、タンクに空気を充填します。空気が充填されたら、エアコンプレッサーのバルブを開けて、「INARI P35」に空気を送り込みます。

エアコンプレッサー使用時のご注意

エアコンプレッサーは最高圧力が 1.0MPa までのものをご使用ください。「INARI P35」は 0.2MPa ~ 1.0MPa の圧力範囲で動作しますが、安全のため 0.2MPa ~ 0.6MPa 内での使用を推奨しております。

2. シリンダーとテーブルの加熱

「INARI P35」をコンセントに接続し、電源を入れます。シリンダー、およびテーブルの目標温度をそれぞれ設定し、加熱を開始します。向かって右側がシリンダー、左側がテーブルの温度調節器です。

3. ペレットの充填

ペレット供給口を引き出し、ペレットを入れます。

4. 射出圧力の調整

成形品の大きさや型の形状、使用する材料に合わせて射出圧力を調整します。

5. 型をテーブルに設置

シリンダーの温度が設定温度に達し、ノズルから材料が出てくれば成形ができます。溶け出てきた材料を取り除き、型の注入口がノズルの真下に来るようにテーブルに設置します。

テーブルの高さ調整方法

テーブル下の調節ねじを回すことで、テーブルの高さが上下します。ハンドルを手前に引いた時、ノズルと型の注入口がしっかり密着する高さに調節してください。

6. 射出

ハンドルを手前に引き、左右のスイッチを同時に押すことで材料が射出されます。樹脂が金型に押し込まれ、射出動作が止まった状態で数秒間スイッチを押し続け、保圧します。数秒経ったらスイッチを離し、ハンドルを元の位置に戻してから型を取り出します。

7. 完成

型から成形品を取り外せば完成です。


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成形サンプル

「INARI P35」の成形サンプル一覧をご覧いただけます。各サンプルの詳細記事は順次公開予定です。今しばらくお待ちください。

レンズ
成形材料
PC (高流動 NOVAREX 70221R)
成形品体積
4cc
シリンダー径
Φ10
成形圧力
0.3MPa~0.6MPa
スパナのグリップ
成形材料
PP
成形品体積
8cc
シリンダー径
Φ15
成形圧力
0.3MPa
プロペラ
成形材料
PP/CF(炭素繊維30%)
成形品体積
10cc
シリンダー径
Φ15
成形圧力
0.3MPa
車のプラモデル (ボディ部分)
成形材料
PP
成形品体積
14.7cc
シリンダー径
Φ15
成形圧力
0.3MPa
カップ
成形材料
ペットボトルキャップ
成形品体積
33cc
シリンダー径
Φ20
成形圧力
0.4MPa
ブロック
成形材料
PP
成形品体積
9.2cc
シリンダー径
Φ15
成形圧力
0.3MPa
樹脂型のサンプル
成形材料
LIMEX
成形品体積
4.3cc
シリンダー径
Φ20
成形圧力
0.4MPa

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キットの組み立てに必要な工具類


六角レンチ

2面幅2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mmのものが必要です。(商品ページへ


+ドライバ

No.0、No.2のものが必要です。


モンキーレンチ

2面幅36mm以上のものが必要です。(商品ページへ


メガネレンチ

2面幅28mmのものが必要です。(商品ページへ


ニッパー

配線をまとめる結束バンドのあまりを切るのに必要です。また、ゲートの切断や成形品の形を整える際にも使用します。プラスチック用ニッパーをおすすめします。(商品ページへ


製品の設置に必要なもの


作業台

耐荷重100kg以上のものが必要です。


成形に必要なもの


エアコンプレッサー

最高圧力が 1MPa までのものが使用可能です。なるべくタンク容量の大きいものをご用意ください。タンク容量が大きいほど空気圧の立下りが少なくなり、安定した成形が可能です。


エアホース

エアコンプレッサーと「INARI P35」本体を接続するために必要です。外径Φ12mmのものか、日本規格の1/4カプラー付きのものをご用意ください。


金型のほか、樹脂型でも成形を行うことができます。

金型を用意する場合
「KitMill」を使えば、その日のうちに金型製作から射出成形までを完了させることが可能です。金型加工は全ての機種で行えます。精度を高めたい場合には、切削性能に優れる「KitMill AST200」と「クーラントケース」の併用がおすすめです。

金型の自作が難しい場合には「金型製作代行サービス」をご用意しております。当社の提携会社にて金型を加工後、成形テストをおこなったうえで納品いたします。3Dデータをお持ちのお客様はもちろん、3Dデータをお持ちでないお客様もご利用いただけます。

樹脂型を用意する場合
3Dプリンタで自作いただけます。なお、樹脂型で成形する場合には、オプション品の「モールドベース」に収めて使用することで、型の変形や破損を防ぎ、成形品質を高めることができます。(商品ページへ)モールドベースの寸法とスペーサーの使用方法は、こちらの PDF をご参照ください。

また、3Dプリンタをお持ちでない場合でも、「DMM.make」の3D造形サービス「DMM.make 3D PRINT」を利用すれば、3Dデータをアップロードするだけで、簡単に樹脂型の製作を依頼することが可能です。


スプルーブッシュ

スプルーブッシュを型に取りつけることで、「INARI P35」のノズルと型の注入口が密着し、成形がしやすくなります。ノズルタッチR10.5のものが対応しています。(商品ページへ


ペレット

加工用原料となる粒状のプラスチック樹脂です。用途に合った特性のものをご用意ください。(商品ページへ


あると便利なもの


エアコンプレッサーのサブタンク

エアコンプレッサーのタンク容量を増やすことができます。タンク容量が増えることで、空気圧の立下りが少なくなり、より安定した成形が可能になります。


スクレーバー

型同士を引き離す際に便利です。


プライヤー

型から成形品を引き抜く際に便利です。(商品ページへ


カッターナイフ

成形品の形を整える際に便利です。


冷却器

型を冷却する際に便利です。(商品ページへ
型は、連続で使用すると熱がこもり、温度によっては寸法に影響が生じます。型を冷やすことで正確な寸法を保ちながら、連続して成形を行うことができます。


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製品カタログ

INARI P35(PDF:1.79MB)

「INARI P35」の仕様がご覧いただけます。

金型製作代行サービス(PDF:1.8MB)

金型製作代行サービスの概要と費用をご覧いただけます。


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