Maker's Guide / INARI 押出プレートによる離型
1. 離型の失敗例
成形素材が深く入り込むようなポケット形状のある金型では、成形品が引っかかり離型が難しい場合があります。無理に成形品を取り外そうとした場合、成形品の一部が千切れて破損したり、変形する可能性もあります。
2. 押出プレートとは
2-1|金型から成形品を押し上げるためのピンを取り付けたプレートを用意することで、成形品を綺麗に離型することができます。なお、押出プレートを利用して離型を行う場合は、金型を入れ子構造にする必要があります。
2-2|成形品の離型を行う際は、入れ子を引き抜き、挿入されていた入れ子よりも長いピンを取り付けた押出プレートを挿入します。
4. 押出プレートの作り方②
内ネジ付きのノックピンをプレートに取り付けて作成することも可能です。この方法で作成する場合、材料のロスが少なくなりますが、市販のノックピンを使用するため形状の自由度が下がります。
4-1|まず、プレートにネジの取付穴を加工します。
4-2|その後、プレートにノックピンをネジ固定したら完成です。
5. 射出成形の準備
5-1|金型・入れ子が開かないよう、ネジで固定します。
5-2|軽く「INARI」のハンドルを倒し、シリンダーのノズルから樹脂が出てくることを確認します。
5-3|ノズル先端の樹脂を除去し、金型を「INARI」に固定します。
7. 成形品の離型
7-1|金型を「INARI」から取り外します。
7-2|金型を固定しているネジを外し、金型を開きます。
7-3|金型と入れ子を固定しているネジを外し、入れ子を引き抜きます。
7-4|押出プレートを挿入し、成形品を押し上げて離型します。

成形品の破損・変形が発生していないことを確認したら、押出プレートによる離型は完了です。
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