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クリエイターたち ~活用事例~

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【2018年度ものづくり文化展】明和電機賞受賞者インタビュー

2018.12.25

2018年度ものづくり文化展明和電機賞受賞作品『Hicarix Badge』

8×8個のマトリックス状に並んだLEDを自由に表示、点滅させる事ができる電光掲示板のようなLEDバッジ。専用スマートフォンアプリ「Hicarix App」で文字やイラストなどのパターンを作成し、スマートフォンの画面の上に本体を乗せ、画面に映し出される白黒の映像によりパターンの読み込みを行う。BOOTHにて購入可能。「Hicarix Badge (RED)」\2,980(税込)/「Hicarix Badge (BLUE)」\3,080(税込)

「つまんねーな」って言われた方が頑張れる気がするんです(笑)。

『Hicarix Badge』制作者の岡本 智博さん

1984年生まれ、岡山出身、岡山県在住。
本業であるプログラマーの傍、テクノロジーや地元を題材としたweb記事のライティング、オリジナル製品の開発・販売など様々なジャンルで活躍している。

――― ものづくりを始めた経緯について、聞かせてください。

僕は元々、ソフトウェアばかり作っていたんですが、最近プログラミングは優秀な若い方がたくさんいてプログラムだけを続けていくことに頭打ちを感じていたんだと思います。

プログラムだけで勝ち残っていくのではなくて、2足のわらじとしてもう少し別の範囲に拠り所を求めていたと言いますか、実体のあるもを作れるようになりたいなと思ったんです。そんな頃に、オリジナルマインドさんのKitMill BT200を買ったんです。それがきっかけですね。

だから、提灯記事を書いてください。「オリジナルマインドさんの製品を買って人生変わりました」って(笑)。ちょっと怪しい通販ページみたいになるかもしれない(笑)。

――― 受賞作の制作の経緯について、教えてください。

DESIGNFESTA(デザインフェスタ)に行ったとき、参加者の女の子たちがピンク色とか、パステルカラーの可愛い文字で「鬱」とか、「死」とか、「病」とか、縁起でもないことが書かれた缶バッチをカバンとかにたくさん付けているのを見たんです。話を聞いてみるとその子達は「病んでいるのが可愛い」と言うんですね。

僕も缶バッチを作りたくて調べたことがあるんですが、缶バッチって原価がすごく安いんですよ。デザインも文字が書いてあるだけなのでそんなに良いわけでもないんです。それでもバッジ1個700円くらいで売られていて。きっと彼女たちは、潜在的に自己表現をしたいだって思ったんです。自己表現できるツールは、TwitterとかFacebookとか、インターネット上にはたくさんありますが、リアルな世界だと意外とないんです。もし、僕が自己表現を助けるようなものを作ったらめっちゃ売れるんじゃないか、と思ったのがきっかけですね(笑)。

――― どのようにして実現したのでしょう。

中国の「Seeed Studio」という基板製造サービスに設計図を送って作ってもらった基板を、マトリックスLEDという8×8個の有り物LEDに半田付けをして、ファームウェアを書き込めば出来上がりです。

マイコンは「AVR」というものを使っていて、裏側に「WRITE」と「DISP」と書かれたスイッチがあるんですが、「WRITE」に入れると書き込みモードに、「DISP」に入れると表示モードに切り替わります。

スマホとの連動は、BLE(Bluetooth Low Energy)っていうローエナジーのBluetoothとか、WiFiで通信することが多いんですが、それを使うと価格が高くなってしまうんです。例えば、これが1個7,000円です、って言ったら高いですよね。なんとなく3,000円くらいに収まる安い通信方法はないかなと探していて、昔はイヤホンジャックに挿すタイプのものがあったんですが、イヤホンジャックってiPhone8から無くなってしまいましたよね。なので、画面は無くなることはないかなと思って、画面に映し出される白黒の映像を読み取る通信方法にしました。

――― 制作に際して重要視していることや留意していることは。

安全性はとにかく重視しました。1点物の作品だと自分の目の届く範囲でしか使われないか、もしくは、ある程度コントロールできる人を選べる場合が多いと思うんですが、商品として売る以上、誰にどんな使われ方をするか分からないので、使用上絶対に危険がないように気をつけました。

例えば、充電式のリチウムイオン電池を使うと発火の恐れがあるので、充電式よりも発火のリスクが少ない使い捨てのリチウム電池を使用しています。それでも発火する恐れがゼロではないので、金属の物と一緒にカバンに入れて端子と接触してしまったとしても、電源がOFFの状態だと絶対にショートしませんし、万が一電源がONの状態でもショートしなように工夫してあります。火が出ると大問題になってしまいますからね。

――― 制作に際して苦労した点を教えてください。

通信精度がなかなか上がらなかったことですね。制作期間が2018年の2月に作り始めて、発売したのが8月なんですが、制作期間のほとんどを通信精度を上げるための試行錯誤に費やしました。発売のギリギリまで8割くらいの精度だったんですが、8割だと意図したものと違うものが表示されてしまうので、商品としてはダメだなと。今では、ほぼ10割に近い精度で通信できます。

――― 受賞作を通してどんなことを感じましたか?

こんなにたくさん売れたのが始めての経験だったし、SNSで商品を買ってくださった方が「すごく楽しい」とか、「もっとたくさん買っておけばよかった」とか書いてくれていて、それは本当に嬉しいかったですね。あと買ってくださった方から追加注文をいただいて、それは満足いただけたからなのかなと思って、それも嬉しかったです。

――― どこで販売しているのでしょう。

「BOOTH」という、pixivが提供する個人の創作物を販売できるサイトがあるんですが、そこで販売しています。還元率が9割超とかなり良くて、発送も代行してくれるんです。例えば100個まとめて入庫しておけば、売れる毎に個別に梱包して発送してくれるんですよ。個人だと毎回梱包、発送となると結構きついんで重宝しています。

――― 今後どのようなものづくりに取り組んでいきたいですか?

めっちゃ馬鹿なの作ろうかなって思ってるんです。まだ何も考えてないんですが、みんなから馬鹿馬鹿しいって言われるようなもの(笑)。

たぶん僕は褒められて伸びるタイプじゃない気がしていて、SNSで途中経過をアップして褒められると、そこで満足しちゃうんです。最後までやり遂げるためには「つまんねーな」って言われた方が頑張れる気がするんです(笑)。

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