2016年02月22日
ものづくり文化展2015で、明和電機土佐社長の選考により「特別賞」に選ばれた、新妻一樹さんにお話を伺った。
▲ストライクディンゴ(画像提供:新妻さん)
実は当社と新妻さんとの交流は今回から始まったのではない。2011年頃、当社のKitMill RD300が発売になったとき、社内でその加工サンプルとして「ゴム銃はどうだろうか?」ということになり、ネットで関連する記事を探していたところ、新妻さんの「ストライクディンゴ」というカッコいいゴム銃を見つけた。そこで、あつかましいと思いながらも「データを頂けないか」とお願いをしてみたところ、新妻さんは快く応じてくれたのであった。
そのときの新妻さんの記事
KitMill RD300によるゴム鉄砲の製作のようす
▲画像提供:新妻さん
そして2015年春、なんと今度は新妻さんがそのKitMill RD300を導入してくださった。それまではバンドソーなどを使って加工をしていたそうだが、KitMill導入後は、従来より加工精度が上がり高度な設計の作品づくりが可能になったとおっしゃってくださった。
新妻さんは2015年に「日本ゴム銃・オブ・ザ・イヤー」で最優秀賞を獲得している。
(引用元:日本ゴム銃・オブ・ザ・イヤー様)
それにしても、これほど「男ゴコロ」をくすぐられる作品があるだろうか。男の探究心は時として素晴らしいものを生み出す。この作品の面白みは、もしかしたら女性の方にはわかりにくいものかもしれない。たかが輪ゴム銃、しかし男にとってはされど輪ゴム銃なのだ。
作品には「機能や性能を高めたもの」と「感性に働きかけるもの」の二種類があると思う。この作品は、機能や性能も高いが、なによりもワクワク感や撃った時の衝撃など、感性に働きかけてくれるものだ。手に持ったときの重厚感、輪ゴム発射時のオートバックにより手に伝わる振動、弾倉も通常の銃のようにセット式で球切れの際には素早く交換ができ、おまけにフォアグリップまでついていたりと。そのスペックと見た目から、言われるまで輪ゴム銃だとは思えないほどである。
「新妻さんのWEBサイトにある写真や動画はとてもきれいで、しかも音楽の選定までもが素晴らしいですね。」私がそう言うと、「実はものづくりが楽しくてやっているのか、それとも、みんなに見てもらうことが楽しくてやっているのか自分でもわからない」とおっしゃっていた。新妻さんはもともとは文系で、学校では技術を学んだことがないそうだ。その新妻さんがここまでゴム銃を素晴らしいものに発展させたその原動力は、「多くの人に見てもらうこと」だったのだ。だから私は、今回のものづくり文化展の受賞が、またその原動力に繋がってくだされば嬉しいと思った。会話をしていてわかったのだが、新妻さんの誕生日は2月15日。偶然にも今回のものづくり文化展の受賞作品発表日と同じで、新妻さんはそのことを喜んでくださっていた。だからなおさら私は、受賞が原動力になってくれればいいなあという気持ちを強くするのであった。
新妻さんは今年43歳になるそうだが、とてもお若く見えた。たぶん「少年の心」を忘れていない方なのだと思う。だからこそ、これほどワクワクさせるゴム銃を作ることができるのではないか。このゴム銃は機能や性能だけではなく、撃つことの楽しさをとことん追求して作られたものだ。それを生み出している源は「少年の心」にあるのではないか。そんなことを感じさせられる取材であった。
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