2018年度 第8回 ものづり文化展 受賞作品

最優秀賞

RUNNER/ランナー

制作者:熊谷 文秀

優秀賞

射出成形機

制作者:内田 一彦

aircord賞

Styrofoam CNC cutter

制作者:真壁 友

明和電機賞

Hicarix Badge

制作者:岡本 智博

入選

extbroom-mini

制作者:CH1H160

Alternative YASHICA with LUMIX

制作者:YOSHIMURA

KOON SF-01

制作者:Hideki Aoki

Ⅳ号戦車D型シルバーペンダント

制作者:raku

AUTODESK賞

Metal Gear Mk.Ⅱ MOD2

制作者:あじのり

DMM.make AKIBA賞

日常にある無重力を測定する機械

制作者:こおり屋

FabCafe賞

牛乳パックカッター

制作者:kakiralime

fabcross賞

barobo

制作者:TEXNITIS

FabLab Setagaya at IID

単管パイプのCNC

制作者:kebari

審査員総評

橋本 俊行 & 岩崎 修

株式会社aircord

応募作品のバリエーションの豊かさに毎回驚いています。さまざまな工作手法、ツールの進化と充実により可能性が広がり続けていることを実感させられます。
同時に機能を満たすだけでなく美しさや格好良さの追求も以前に比べより深く追求することが可能になってきていることも我々自身も作り手として心強く思っています。
引き続き次回も優れた作品に出会えることを楽しみにしています。

土佐 信道

明和電機 代表取締役社長

年々、作品のユニークさと精密さがアップしています。「過去作品を超えるぞ!」というやる気と、それをささえるパーソナルな工作機器の普及が背景にあるのでしょう。中には量産して商品として販売する人も登場。これからの可能性として「ものづくり文化展の作品の商品化」が、さらに現実味をおびてきている気がしました。

中村 一

株式会社オリジナルマインド会長

今年度の受賞者4名にインタビューをさせていただきました。それぞれの作品は種類も分野も全く異なっていますが、どの制作者も自分の世界観をしっかり持っていて、それに基づいた作品づくりをしているということを強く感じました。ぜひ受賞者のインタビュー記事もご覧になって下さい。

ところで私は昔から、個人のプログラマーが作ったフリーウェアを好んでよく使っています。本当にプログラミングが好きな人たちが作ったソフトウェアは、シンプルで無駄がなく、とても使いやすいからです。

しかし、以前私が勤務していた会社では、それらフリーウェアを社内で使うことは禁じられていました。個人の作ったものは信頼性が低いと会社が判断したためです。

個人は企業に比べて弱い――。こういったイメージは以前では当たり前でした。しかし近年、それが逆転する現象が見られるようになってきています。それはたとえばユーチューバーやブロガーと呼ばれる人たちの活躍です。

「なんだユーチューバーか」と思う人もいるかも知れません。しかし彼らの持つクリエイティブ力や編集力、表現力、発信力の高さは半端なものではありません。実際、彼らの収入は、その何倍もの規模を持つ中小企業の収益を遥かに超えることがあります。

さらにInstagramを見ていると、一見どこにでもいるような人が、数万、数十万ものフォロワーを獲得しています。彼らの持つ個性や世界観は、中小企業を簡単に超えてしまうほど強い魅力を持っているように思います。実際彼らは、それらを活かして自分の仕事に結び付けています。

そして、これと同様の動きがものづくりの分野においても見られるようになってきたと感じています。たとえば前回のものづくり文化展で「優秀賞・明和電機賞」を受賞した鈴木完吾さんがそうです。彼はTwitterで「書き時計」をツイートしたところ、大変大きな反響を呼びました。それがきっかけで彼は今、企業からの依頼を受けて仕事をしています。

美しすぎる耐久試験
https://citizen.jp/attesa/special/frozen-gray/special.html

なぜ、このような「個人」の活躍が目立つようになったのでしょうか。それはインターネットがさらに普及したことや、ユーザーのリテラシーが向上したからということもあると思います。

しかし私は、時代が「画一化」から「パーソナル化」に向かっているからだと感じています。大量生産を連想さるような画一的なものではなく、個性や世界観、独創性を感じられるものが求められているのです。

おそらく今後、そうした魅力を持つ個人に、仕事と割り切ってやっている中小企業は勝てなくなるでしょう。それほどに個人の力は社会を大きく変えていく予感がするのです。

私たちオリジナルマインドも、ものづくり文化展を通じて、こうした個人の力を爆発させる動きを皆様と共に作っていきたい。本当にものづくりが好きで、楽しみながら作品を生み出す小さな作り手たちから、世界を驚かす創造性の高いもの、個性溢れる独創性の高いものが生まれることを心から願っています。