最優秀賞
せんちゃん(潜望鏡のせんちゃん)
小さな機械がチョコマカと動く。もうそれだけで楽しくなりそうな予感がしていました。何をどう動かしてやろうかとあれこれ考えていた時、くにくにと何気なく動かしていた自分の人差し指が一瞬「潜望鏡」に見えたのです。
「あ、これだ!!」
小さな潜望鏡が出てきてキョロキョロする映像が浮かんできました。企画展のテーマは「音」なので、手拍子に反応するように作ってみるのも面白いかも知れない。キョロキョロしたりうなづいたり、目がキラリと光っちゃったり…などと空想が膨らみます。
ただ作品を眺めて鑑賞してもらうだけなのではなく、「手拍子」を通じて作品と対話しているかのような空間が作れたらきっと楽しいだろうな。そんな想いでこの作品を作ってみました。
熊谷 文秀
『不思議な引力を持った幸福体験増幅装置』
作品の前を通りかかった人たちがなぜだか自主的に手拍子してしまう引力と、愛くるしさ、そしていい意味での少しの違和感を持っている作品。それらの要素が織り重なることで、鑑賞者(作品参加者)が普段日常では感じることのないであろう新鮮な体験をもたらしてくれています。この作品は、見た目にこそ複雑な機構は目立たないものの、そこから得られる体験には摩訶不思議かつ複雑な魅力があります。数字的な技術だけではこの「幸福体験増幅装置」は実現しなかったでしょう。その数字からだけでは生まれ得ないであろう魅力は、熊谷さんが「何をどう動かしてやろうかとあれこれ考えていた時、くにくにと何気なく動かしていた自分の人差し指が一瞬『潜望鏡』に見えた」とおっしゃっているその「普通なら見過ごしてしまうであろう一瞬の出来事」を「作品と対話してるような空間が作れたら楽しいだろうな」という純心な思いで具現化したことで実現しています。置いているだけで人の幸福体験を増幅させてしまう摩訶不思議な装置を見事に完成させた熊谷さんに最優秀賞をお送りさせていただきます。
中村 一
お金をかけて人間型ロボットつくらなくても、シンプルな潜望鏡でも、演出がうまければ人は感情移入できる、という好例です。
土佐 信道
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2017.10.19