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入選

1/12 ドラッグZ

日産が本気でドラッグレーサーを作ったら…?!
と、いう妄想で始まった1/12スケールの模型です。
「ドラッグレース」とは1/4マイル(≒400m)の直線を走りぬける速度を競う自動車競技です。製作に入る前に目標タイムを決めてゆきます。6秒代前半・終速350Km/hを設定タイムとして各部の必要スペックを考察。やっぱりなんといっても強力無比なエンジンがなければ話になりません、そこから割り出したエンジンスペックは排気量8300cc、二機のターボチャージャー、ナイトロメタン燃料で3800hp! こういう妄想してるときが至福です。
スペックは決まりましたが、実際、今の日産にはベースとなる大排気量V8・OHVは存在しませんので、結局ほとんど一からの設計でした。

ほとんどの部品はkitmill RD300 にて樹脂の塊から削りだしていますが、通常、パイプを曲げて製作するエギゾーストマニホールドも削り出しにて製作するという技術に挑戦してみました。複雑に絡み合うパイプ状のものを3軸の機械で削る技術を得られたのが今回の一番の成果です。

木川 暁仁

この作品の価値は美しい造形や作り込み…確かにそれはそうです。けれども、この作品は制作工程にこそ本質的な面白みと価値があります。ドラッグレーサーを作ると決めて「6秒代前半・終速350Km/h」という目標タイムを設定、そこから逆算する形で各部の必要スペックを細かく考察、存在しないエンジンスペックを割り出したことから制作をスタートされたこの作品。この時点で、木川さんの溢れんばかりのメカフェチメンタルが伺えます。さらに曲げ加工で作れば楽なエギゾーストマニホールドを、あえて三軸のCNCの削り出しで造形することに挑戦されている制作スタンスにもつくること自体を楽しんでいる純心を感じさせられました。

中村 一

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受賞作品一覧:2017年