ホーム > ものづくり文化展 > ものづくり文化展2017 優秀賞・明和電機賞受賞作品

優秀賞・明和電機賞

文字書き計時器 time castle

動きのメカニズムが見えるよう設計された「time castle」には、独自開発の筆記機構に加え、ユニークかつ合理的な動きをする「テオヤンセン機構」や「非円形歯車」などが使用されている。全ての機構が複雑に噛み合い、壮大な「3分」を計測する。

鈴木 完吾

『複雑なカラクリが創り出す大袈裟すぎる3分間に思わされる何か』
ものづくりは技術革新による利便さや効率性の実現を目指してきた歴史とも言えます。けれども、この作品はどうでしょう。ガチャガチャと大きな音を立てて大袈裟に時を刻むその姿には利便さや効率性はありません。なのに私たちは一生懸命に数字を書き込むその大袈裟な立ち振る舞いになぜか思わず魅了されてしまうのです。ひたすら技術革新に突き進む現代のテクノロジーに真っ向から逆行したこの作品が刻む大袈裟な3分間は、ふっと吹いたら飛んでいってしまうようなつかみ所がない、けども確かに大切にしてきた「何か」を私たちに思い出させてくれるのかもしれません。とても不思議です。この作品がなぜ素敵なのかを言葉にしようとすればするほど、それを言語化できないことに気づかされて最終的には「うん、好き」としか言えなくなってしまうのです。ただ、1つだけ確かに言えることは、この作品は企業からは生まれ得なかったであろう、ということです。効率性を求められる仕事現場ではきっとこうした芽は削ぎ落とされてしまっていたかもしれません。そうした技術のその先にある技術以前の芽を自ら育て上げ、大袈裟すぎる3分間に確かなメッセージ性を結実させた鈴木さんに優秀賞をお送りさせていただきます。

中村 一

100円ショップで腕時計が売られ、携帯電話で時間を知るようになった現在、時を知らせる機械のありがたさが、どんどん減っている。そのせいか、時間があっというまに過ぎていくような感覚になる現代社会。そんな中、「なんで、ここまで苦労して時間を知らせるのか・・?」とおもわず突っ込みたくなる仕組みの『文字書き計時器』。その技術の無駄使いが、逆にしっかりと時の流れを教えてくれる逸品。

土佐 信道

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受賞作品一覧:2017年