「OTON GLASS」はディレクシア（読字障がい者）の「読む」という行為をサポートするプロダクトです。この作品は今回ご応募いただいた作品の中でも特に「本気でビジネス化し、普及させようとする勢い」を強く感じました。その中で、試作品を使用を想定しているユーザーの方々に試用してもらいながら改善を試みているスタンスにも感心させられます。

このOTON GLASSのように人の知覚を補うような作品が世の中に普及すれば、それまで困っていた多くの人々が幸せになるでしょう。作者様本人がメカトロライフの作品ページ内で「開発の動機は私の父の失読症だった」と語っていますが、そうした身内に起こってしまった悲しい出来事に落ち込むのではなく、そのことをキッカケにこのような素晴らしい着想の作品を生み出してしまう心の強さに感慨深いものを感じずにはいられませんでした。身近で起こった出来事から、ここまでのアイデアを発想したこと。そしてそれを諦めずにここまでのカタチにしたこと。このことからより多くの人々を豊かにしようとする作者様の優しい人柄と、それに伴う強い決意が伝わってきます。

「つくりたいからつくった」という独創的な作品にも魅力を感じますが、こうした「必要だからつくり出した」という作品には、なおのこと大きな価値を感じました。そのお父様の失読症をキッカケにここまでのプロダクトをカタチにした熱意と、何よりもその強く優しい心に対し、DMM.make AKIBA賞をお送りさせていただきます。

私たちの最終的な目標はOTON GLASSをユーザーの手元に届けることです。今年は、ユーザーの方々と試作を重ねると共に、施設と連携して実証実験を行ないます。来年中に、少量生産での製品化を目指しています。

また、それと並行して、企業や美術館などと協働し、人間の知覚を更新するデバイスとしてのOTON GLASSの可能性を模索していきます。本アワードを通して、様々な方にOTON GLASSを知ってもらえたこと、またDMM.make AKIBA賞をいただけたこと大変嬉しく思います。今後ともOTON GLASSの応援を宜しくお願い致します。