クレメタル
ドライ加工でも加工面が滑らかに仕上がるため、比較的簡単に金型の加工が可能です。
プラスチックの特性を持ちながら熱伝導性が良く、押し込まれた樹脂が金型内部で固まりやすく、冷却不良によるヒケが起きにくいのが特徴です。
「手動射出成形機 INARI」で使用する場合100ショット程度の耐久性があります。
クレメタルで作成した金型の使用方法については「使用例」の項目を参考にしてください。
材料の厚み方向の片方の切断面はバンドソーで加工されています。厚み方向に+1mm程度の誤差があります。材料表面の面出し加工を行いご使用ください。
単位:mm / 公差 : A寸法、B寸法 0~+0.5 T寸法 0~+1
クレメタルを使った金型加工
■ モデルの用意
ここでは3Dデータを使います。
今回使用した3Dデータは以下よりダウンロードできます。
CAD/CAMはFusion360を利用しました。
ダウンロードしたFusion360用のデータ(F3D形式)にはツールパスを参照できますので加工時の参考にしてください。
※「KitMill BS100/200」を使用した場合の加工条件です。

■ クレメタルを加工
3Dデータからツールパスを作成しクレメタルを加工します。
クレメタルは加工熱で溶けて貼り付く事が少ない材料なので、ドライ加工でもサクサク加工できます。
切りくずが出ますので定期的に掃除機で除去いただくか、集塵機作成キットをご使用ください。

■ 補強プレートの作成
クレメタルで作成した金型にそのまま成形すると成型時の圧力によって金型が破損してしまう場合があります。
今回はアルミの板材を用いて補強プレートを作成します。今回の金型の形状は比較的簡単な形状なので、補強板で挟み込む形式でも問題ありません。

クレメタルの金型を使った成形手順
■ 断熱対策
クレメタルで作成した金型の場合、加熱されたシリンダーに直接接触させてしまうと、熱で溶けてしまいます。
「INARI」のオプション品の「断熱プレート」または「フェノール樹脂(捨て板)」を加工した断熱ワッシャーを用いて断熱の対策を行ったうえで、補強プレート側から樹脂を流し込むようにしてシリンダーの熱がクレメタルに直接伝わらないようにします。

▲ 断熱プレート

▲ フェノール樹脂(捨て板)を加工した断熱ワッシャー
■ 成型
準備できた金型で成型を行います。
クレメタルで作成した金型をシリンダーに長時間接触させないでください。「INARI」へのセットと成型、取外しまでは素早く行ってください。
※ 長時間シリンダーに接触させるとクレメタルが溶ける場合がございます。
押し込んだ樹脂が固まりにくい場合があります。成型後は金型を十分冷却してから取外し作業を行ってください。

■ 取り外し