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社長のメッセージ

日本のものづくりの展望とわが社の役割

私の思う日本のものづくりの展望は、「作品をつくり世界に売ること」です。
そしてオリジナルマインドは、ものづくりをする日本人に「それをつくる楽しさ」を提供します。

私は、日本のものづくりの強みを「暗黙知」だと思っています。暗黙知とは、経験から
得られる、勘やコツに基づく知識のことです。勘やコツは、言葉や数字で説明すること
ができません。仮に説明できたとしても、それをすぐに習得することは困難です。例え
ば自転車に乗るにも勘やコツが必要ですが、いかに丁寧な説明を受けようとも、実際に経験しなければ勘やコツは習得できません。これと同じように、特にものづくりにおいては、良いものをつくろうとすればするほど、経験に裏付けされた勘やコツが大切になってきます。

また、日本人は、海外から取り入れたものに改良を加え、独自のものに変えてしまうことに天才的な能力を持っています。漢字を取り入れてから、訓読みや万葉仮名、平仮名、片仮名を発明し、日本独自のものに変えてしまったのも、その一例です。あるいは、奈良時代における白鳳文化、天平文化もそうでしょう。身近な例で言えば、当社のある岡谷市からもそれを感じ取ることができます。明治42年ごろ、日本は世界一の生糸生産国でした。その中枢的役割を担ったのが、当社のある岡谷市です。製糸家たちは、イタリアやフランスの機械の特徴を取り入れながらも、独自の繰糸機械を開発しました。その結果、効率よく生糸が生産できるようになり、世界一の生糸王国へと発展を遂げたのです。

日本人がこのような能力を持つ背景には、“極めて繊細な感性”を持っていることが言えると思います。何かを使ってみた時に“どうもしっくりこない”“どうも腑に落ちない”というような微妙な違いや問題を感じることができる感性です。この繊細な感性があったからこそ、日本は世界最高品質のものづくりができる技術立国へと発展することができたのだと思います。そして日本人は、それらの経験から得た勘やコツを暗黙知として積み上げ、代々にわたり大切に受け継いできました。これこそが、日本のものづくりの強みであり財産だと思うのです。

ところが近年、特に家電業界においては、この暗黙知があまり生かされなくなってきてしまいました。これは、90年代半ばにインターネットの普及とともにパソコンが広く一般家庭にまで普及したことが関係しています。パソコンは、主にCPUとプログラム、そして、電源などの基礎部品の組み合わせでできています。この構造がそのままテレビやDVD、オーディオプレイヤーなどの家電に適用されたのです。

この構造は、暗黙知を必要としません。あらゆる機能をプログラムによって実現しているからです。例えばかつてテレビは、綺麗に映像を映し出すには、職人の勘とコツによる調整が必要でした。しかし、それをプログラムによって実現しているため、職人は不要となったのです。これがいわゆる「組み合わせ型ものづくり」です。

組み合わせ型ものづくりは、モジュール化された部品を組み合わせるだけで簡単に実現でき、職人が要らないため、どこの国でもつくることができます。となると、人件費の安い国で製造することが競争上有利になります。日本は本来、このようなものづくりを人件費の安い国に任せて、日本独自のものづくりをすべきですが、実際は同じようなものをつくり続けました。その結果、価格競争の波に飲み込まれ、しわ寄せが労働者にも及んだのです。年収が減りデフレの一因となったり、リストラやら派遣切りなど、数々の悲劇を引き起こしてしまいました。

こうした時代にあり、日本独自のものづくりとは何か─。私はそれは「作品づくり」だと思っています。作品と製品の違いは、作品は匠がつくったものであるのに対し、製品は生産設備でつくられたものです。生産設備でつくられたものは画一的で、思いやこだわりは感じ取れません。また、作品と製品では価値も異なります。作品の価値は、他のものと簡単に比較ができません。思いやこだわりは数値で表現できるものではないからです。それに対して製品は、性能や精度を数値で表わすことができるので、他社との比較で価値が決まります。価値を数字で表現できる製品づくりは、どうしても人件費の安い国のほうが有利ですし、やったとしても価格競争に持ち込まれてしまいます。それに、知識経済下においては、画一的な製品は先細りであると言えるでしょう。

私は、これからの日本のものづくりを発展させていくには、製品ではなく作品をつくり、世界に売っていくことが大切だと思います。世界中の人々に、Made in Japanを手にすることが誇りであると思われるような作品を、私たち日本人がつくることです。

私の思う作品の代表的なものは、機械式腕時計です。人々が高いお金を出して機械式腕時計を購入するのは、時間を知るためだけではありません。そこに作品としての魅力があるからだと思います。車にも作品的要素があり、乗り味とか座り心地がそれにあたると思います。このような価値は、決して数値では表せないものです。私はここにこそ、日本のものづくりのあるべき姿を感じるのです。

しかし私たち日本人は、この暗黙知を日常的に用いているために、無自覚であることが少なくありません。たとえば、日本人にとっては当たり前すぎて、つくっている本人でさえ、大して価値のないものと思い込んでしまっているものでも、異国の人から見れば、たいへん感動するものであったりすることがあると思います。それは作り手である私たちもが気付けていない作品に宿る暗黙知を、異国の人が見出してくれているということでもあります。私たちは、まだまだ私たち自身のものづくりをわかりきっていないのではないでしょうか。

またこれらと同時に、作品の背景やコンセプトを明示するための、ブランド戦略も大切になってきます。このブランド戦略は、作品を単なる「モノ」で終わらせないためにも大切な視点であり、これをより加速させるのがインターネットの進化です。今まではお客さまに伝えきれなかった開発者の思いや挫折などの背景を、リアルタイムで作品に付加することができます。単なる「モノ」では誰も欲しがらないでしょう。モノは人がいてこそ生まれるのです。

日本人はこれまで、あまりにも欧米の文化に影響を受けすぎてしまいました。論理や理屈ばかりが先に立ち、暗黙知の大切さを忘れかけているように思います。日本人は論理に弱いと言われがちですが、そんなことは気にしないで、逆に私は感性を磨き、暗黙知を高めることをこれまで以上に大切にしていくべきではないかと思っています。論理にものすごく強い人も、実は、論理の出発点は感性とか直感、情緒によるものが多いのではないかと思うことがよくあるからです。そのような数値で表すことのできない感覚こそが、日本人の強みであり、これからの日本を生かす唯一の道のような気がしてなりません。

ただ、このことは私が書かなくても、ものづくりに関わる人なら多くの人が感じていることだと思います。実際、町工場の人たちが、様々な作品を生み出しています。町工場は日本の宝であり財産です。暗黙知がまだ残っているのです。

こうした今はまだ小さな模索の繰り返しがいつか、世界中の人々が憧れる作品づくりにつながっていくような気がします。日本人というのは、いちど目標を決めたら、集中して短期間にやり遂げるという性質を持っています。だんだんに方向が見えてきたとき、日本の時代がまたやってくると思っています。その中心的役割を果たすのは、大企業ではなく、われら中小企業や町工場、さらには個人のような”小さなつくり手たち”ではないでしょうか。

オリジナルマインドは、今後のものづくりを担うであろう“小さなつくり手”の皆様に「それをつくる楽しさ」を提供してゆきます。“日本のものづくりは製品から作品へ”これがオリジナルマインドの考える日本のものづくりの展望です。

株式会社オリジナルマインド
代表取締役社長