ホーム > 技術解説 > 相撲ロボット

相撲ロボット
  • ロボットの紹介
  • 解体図
  • ロボットの組み立て方

はじめに

ロボット特集と題して、オリジナルマインドで相撲ロボットを製作してみました。これから紹介するのは、全日本ロボット相撲大会のラジコン型に準じた機体です。公開後も、改良や商品の追加等で更新する予定です。

全日本ロボット相撲大会とは?

直径154cmの鉄板上で、2台のロボットを戦わせ、土俵外に押し出す事で勝敗を決めます。鉄板が土俵、ロボットが力士に見立てられている訳ですね。

全日本ロボット相撲大会公式HP

競技の競争点

この競技は土俵外に押し出す事で勝敗が決まります。
相手のタイヤを土俵から浮かせば一方的に押し出せるので、最もポピュラーな方法は相手の下に潜り込んで押し出す方法です。

下に潜り込む方法として、
* 相手の先端よりも自分の先端が下に入りやすくする。
* 相手の守りの薄い側面または後ろを狙う

があります。

他には「相手が下に入っても浮かなくする」なんて方法もありますが、あまり一般的ではありません。
(強い弱いは別として)

これらを実現するには、

* 先端のセッティングを研究する。
* 出力を上げる。
* 相手の側面を狙う練習をする(プログラムを組む)

これらを行なう必要があります。
これがロボット相撲の競争点で、やることのほぼ全てです。

ここで紹介するのは最低限の機能を搭載したものですので、ご自分で製作される場合に、ここにあるものを参考にして頂ければと思います。

部品名をクリックすると各部品の紹介ページが出てきます。

歯車

カップリング

動力を伝達するための部品です。
他にベルト・プーリによる伝達手段もありますが、それらと比べて平歯車は効率よく伝達することができます。


▲軸穴写真

主な固定方法はネジによる締め付けです。
ただし、丸い軸にただ締め付けても空転する事があるので、軸に溝や穴を設けて取り付けましょう。

歯車の規格にモジュールというものがありますが、これは歯の大きさを表したものです。
組み合わせる歯車は同じモジュールのものを使ってください。


▲今回の設計例

軸間の距離は、基準円(ピッチ円)の間に多少の隙間を空けた長さにします。材質には金属の他にプラスチックのものがあります。

材料・部品を探す


[新品] 歯車


[メカトロニクス中古品] 歯車

ロボット用ホイールとタイヤ

ロボット用ホイールとタイヤ

ロボット用に適したホイールとタイヤです。
タイヤにはスポンジ製の物と、ゴム製の物を用意しました。どれも個人の方では作り難いものばかりです。

ロボット相撲大会
マイコンカーラリー
ロボトレース

材料・部品を探す


ロボット用 タイヤ/ホイール

スペーサ


▲ギヤボックスに取り付けたところ


▲いろいろな長さのスペーサ

材料・部品を探す


[新品] サッシ用皿小ネジ 十字穴(ステンレス)


[新品] 六角スペーサ


[メカトロニクス中古品] ネジ

ベルト・プーリ



動力を伝達する部品です。軸間の距離がある場合に用いられます。
距離がある場合にはギヤで伝達するよりも軽量に組み上げることができます。
また、軸間距離に精度がなくても組み上げられます。
ただし、ベルトがゆるむ場合には、ベルトを張るための部品が別に必要になります。

プーリの固定方法はネジによる締め付けです。


▲軸穴写真

ただし、丸い軸にただ締め付けても空転する事があるので、軸に溝や穴を設けて取り付けましょう。メーカーや種類によって歯の形状が異なるので、同じ種類の物を組み合わせて使いましょう。

材料・部品を探す


[新品] 椿本チエイン製 XL標準プーリ(ベルト幅9.5mm用)


[メカトロニクス中古品] ベルト


[メカトロニクス中古品]プーリ

ベアリング



軸を回転する状態で固定する部品です。形状の種類としてはふちに引っかかりのある「フランジ付きベアリング」と、そうでない普通のものがあります。



▲ベアリング比較

また、軸のすべりを鉄球で行う「ボールベアリング」と、滑りやすい材質を用いた「ブッシュ」があります。
ブッシュのほうが安価で軽く、ベアリング自体が薄くてすみます。
ただし、高回転や高負荷の場合には焼け付くことがありますので、そういった場所にはボールベアリングを使いましょう。

材料・部品を探す


[新品] ベアリング・ブッシュ


[メカトロニクス中古品] ベアリング

フレーム


▲シャーシ


▲フレーム兼ギヤボックス


▲装甲


▲切削の様子

構成素材はジュラルミン(A2017)で、箇所によって厚さ2mmと5mmのものを使い分けています。
ジュラルミンはアルミ系材料の一種ですが、その強度と軽さから航空機にも使用される材料です。
十分な強度を持っているのに加えて、他の金属よりも切削性が良いため、ロボットのフレームとしてよく使われます。
性質上折り曲げは出来ません。折り曲げが必要な場合にはアルミ(A5052)を用いてください。

材料・部品を探す


[新品] 材料(薄板)


[新品] 材料(厚板)

ギヤードモーター



動力のモーターです。今回使用したのはDCブラシモーターで、直流電圧を加えることで動作します。
利点は価格が安い。制御回路が簡単なものですむ。などがあります。
弊社で取り扱っているモーターは、他にステッピングモーターがあります。利点は軸の角度の制御が簡単に行えることです。
ロボットへ組み込む場合、多くは車輪へ動力を与えます。
その際トルクが必要になるので、ギアなどを用いてトルクを増やしますが、ギヤードモーターははじめからギヤボックスがついておりますので、作る手間がかかりません。

かわさきロボット公式HP

材料・部品を探す


[新品] オリジナルステッピングモーター


[メカトロニクス中古品] モーター

はじめに

ロボットの組み立て手順を掲載しています。
それぞれの部品がどう使われるか、どんな役割があるかご紹介します。

フレームの製作

ぶつかった際に中身が潰れないよう頑丈に、また、重量制限もありますので無駄に重くなってしまわないように製作します。

弊社のmini-CNCを使い、5mm厚のジュラルミンからフレームを削り出しました。
側面にM3のネジ穴を追加工して、フレームやシャーシを固定できるようにしています。
また、ネジの頭が邪魔になる場所には、皿ネジを用いるためにザグリ加工を行なっています。


材料・部品を探す

     
[新品] ジュラルミン板(T=5.0mm)   [新品] エンドミル   [オリジナル商品] mini-CNC   [メカトロニクス中古品] エンドミル

ギアボックスの組み立て

設計が間違っていると組みあがりませんので、設計をよく確認してから製作しましょう。

フレームにギアやプーリ、モーター、ホイール等を取り付けている最中です。
中央のフレームに長いイモネジを挿し、両側からスペーサーを締めて止めています。
プーリやタイヤが空転しないよう、ネジ止めをする位置に、シャフトへ溝(または穴)を掘っておきます。
また、ベアリングが外れないよう、フレームに接着しておきます。
ベルトの長さに合わせてタイヤ間距離を決めたので、ベルトのテンショナーは使っていません。
軸の左右のガタは、プーリをフレームで挟む事で抑えています。

軸どうしの距離は、以下のようにしました。

・ギア
大きいギアと小さいギアの基準円(ピッチ円)同士の間に、0.1mmの隙間(遊び)を設けました。 基準円キッチリに設計すると、加工精度によってギアがはまらなかったり、回転が渋かったりします。

・プーリ
基準円とベルト長さが丁度合うように設計しました。 実際に組み上げると、多少ベルトを引っ張るようなクリアランスになります。


材料・部品を探す

     
[新品] 歯車   [新品] タイミングプーリ・ベルト   [新品] 六角スペーサ   [新品] ベアリング・ブッシュ
     
[メカトロニクス中古品] 歯車   [メカトロニクス中古品] ベルト   [メカトロニクス中古品] プーリ   [メカトロニクス中古品] ベアリング

吸着装置の取り付け

磁石が互いに引っ張り合い暴れる場合があります。雑に取り扱うと磁石が割れたり、手を挟むことがありますので、丁寧に組み込んであげましょう。

フレームと同様に、シャーシをジュラルミンt5から削り出しました。
相手に押されにくくする為に、吸着装置を使って自重を増します。
本機では、ネオジウム磁石を用いて、土俵にくっ付きます。
磁石は溝にはめ込み、接着剤で固定しています。
シャーシ面にそのまま貼り付けるよりも、溝を掘って側面を接着した方がシッカリ固定されます。
磁石のサイズは40×11×6で、6つ使用しています。
鉄板の上での自重は60㎏程度になりなす。
この時点で、吸着のないロボットではとても押し出せない性能になっているはずです。

ギアボックスの組み付け

なんとなく形になってきました。ただ、いま好奇心に負けて土俵に置くと取り外せなくなりますので、モーターを回転させる回路を用意するか、取り外す道具や段取りを十分に確認してから試しましょう。

シャーシに駆動系のフレームを取り付けました。
また、先端に相手をすくい上げる為の板(ジュラルミン(t2))を取り付けました。
板は黒色に塗装しています。

タイヤは良く設置するように両持ちの軸に固定しました。
また、タイヤの近くに磁石を配置することで、フレームの歪みを発生し難くしています。
フレームの固定には皿ネジと、通常の物より頭の小さい皿ネジ⇒サッシビスを用いています。
通常の皿ネジと比べると、頭の直径と高さが、共に1mm程度小さくて済みます。


材料・部品を探す

     
[新品] ジュラルミン板(T=2.0mm)   [新品] サッシ用皿小ネジ 十字穴(ステンレス)   [メカトロニクス中古品] ネジ  

回路の取り付け、配線の固定

配線が巻き込まれないように、確実に固定や処理をしましょう。巻き込むと機械も回路も壊れてしまい大惨事です。

電池やアンプを固定するための天板です。メカトロニクス中古品の材料を用いて製作しました。材質はABSです。

アンプや電池、受信機を取り付けたところです。所々に設けたスリットを用いて、結束バンドで配線をまとめています。
バッテリーは11.1Vのリチウムポリマーバッテリーを、アンプはフタバのMC230を使いました。
バッテリーはスリットを用いて、取り外しの出来る結束バンドでとめました。アンプはフロント部分の空きに納めています。

材料・部品を探す

[メカトロニクス中古品] ABS樹脂板

外装の取り付け

中身を守る為に必要です。固めの粘り強い材料で覆ってあげましょう。今回は正面・背面だけですが、対戦相手によっては側面・上面も覆ってあげると効果があります。

フロントとバックのフレームを取り付けました。バックフレームをABSで、フロントのフレームをジュラルミンでつくり、黒く塗装しました。

黒く塗装してあるのは見た目の為ですが、最近のラジコン型はセンサーを積んでいる機体もいるので、多少はセンサーのステルス効果があるかも知れません。

外装の取り付け

勝敗を左右しますので、丁寧に準備してあげましょう。

先端により相手をすくい上げやすくするために剃刀を取り付けました。大会で主流のフェザーの剃刀を使用します。

大会の手袋着用義務はこういった刃の取り扱いから来ています。大変鋭いので、取り扱いには十分に注意しましょう。

先端の強度確保と、刃の飛散防止のために、下に0.1mm厚のリボン鋼を用意し、そこに刃を取り付けています。取り付けは両面テープで貼り付けています。

これでロボットの完成です。

JMM-TOOL解説 < 技術解説トップ > プラスチック歯車の特性