ホーム > 技術解説 > ロッドレスシリンダ解体新書

ロッドレスシリンダ解体新書
  • ロッドレスシリンダ解体新書

今回は中古のマグネット式ロッドレスシリンダをバラバラに分解します。決してマグネット式ロッドレスシリンダが嫌いなわけではありません。むしろ大好きです!
ロッドレスシリンダには動作方式の異なる「スリット式」と「マグネット式」の2種類が存在します。スリット式は内部のピストンとスライダが繋がっているのですが、マグネット式は繋がっていません。なのにどのようにしてスライダを動かしているのでしょうか?興味が沸いてきました。
分解することでその構造と仕組みを理解していきたいと思います。

もくじ

ロッドレスシリンダとは

マグネット式ロッドレスシリンダを解説する前に、そもそもロッドレスシリンダとはどのような特徴を持つシリンダなのでしょうか。いちばんの特徴は何と言っても「設置スペースが半分で済む」ということです。普通のシリンダはピストンロッドが伸びるため、本体の倍の設置スペースが必要です。それに対しロッドレスシリンダは、シリンダチューブ上をスライダが移動するため、本体分の長さの設置スペースで済みます。 また、ロッドレスシリンダは、「前進時と後退時の推力が等しい」という特徴も持っています。普通のシリンダはロッド分だけ受圧面積が狭くなるため、前進時の推力に比べ、後退時の推力が弱くなってしまいます。それに対しロッドレスシリンダはロッドがありませんから、前進時と後退時共に推力が等しいというわけです。

マグネット式ロッドレスシリンダの各部紹介

それでは早速マグネット式ロッドレスシリンダをバラバラに分解してしまいましょう。簡単なイラストと分解前の写真、分解後の写真を用意しました。

主要部品説明

次に分解したマグネット式ロッドレスシリンダの各部品を見ていきましょう。各部品にはどのような役割があるのでしょうか?

・ピストン
このピストンには強力なマグネットが組み付けられており、外部のボディを吸引します。シリンダ内外のマグネット移動子が磁力結合のため、過度な圧力を加えてしまうと内側と外側のマグネットにズレが生じ、適切なストロークを確保できなくなってしまいます。

・シリンダチューブ
このチューブ内に送り込まれたエアがピストンを駆動させます。この部品の内径(シリンダ内径、チューブ内径と呼ばれます。)によってシリンダの駆動する力を計算することができます。
出力=使用圧力(MPa)×π/4 チューブ内径(mm)2
※取付条件により異なる場合があります。

・ヘッドカバー
このカバーの継手装着部に継手を装着することで、エアの供給、排気を行います。継手装着部のねじ山が擦り減ったり、キズがついたりすると、継手のかみ合わせがゆるくなりエア漏れの原因となります。

・ピストンパッキン
エアの漏れを防ぐためのゴム製の部品です。中古のシリンダに見られるエア漏れの原因は、このパッキンの劣化や破損によることが多いです。
メンテナンスはこちら

マグネット式ロッドレスシリンダの仕組み

バラバラに分解したマグネット式ロッドレスシリンダをご覧いただき、すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、スリットのないこのシリンダは、シリンダチューブ内のピストンと外部のボディに強力なマグネットが組み付けられています。そのマグネットの磁力結合によりピストンと外部のボディが吸引することで動作しています。

メンテナンス

マグネット式ロッドレスシリンダの仕組みが理解できたところで、メンテナンスについても確認しておきましょう。お使いのマグネット式ロッドレスシリンダに以下のような症状が発生した場合はメンテナンスが必要かもしれません。

・エア漏れ
エア漏れが発生した場合はパッキンを交換することで改善される場合があります。交換の際にはパッキンにグリースをまんべんなく薄く塗布することで装着しやすくなります。
継手装着部からエアが漏れる場合は、シールテープや液体シール剤を使用することでエアの漏れを防ぐことができます。また、緩み止めとしてロックタイトなどの活用も効果的です。

・動作が重い
ボディの動作が重い場合にはグリースUPを行うことで改善される場合があります。

解体動画

下の動画はマグネット式ロッドレスシリンダを分解する際の動画です。メンテナンスの際に参考にしてみてください。

ヘッドカバーを外し、パッキンを取り出す際の動画です。

内部ピストンを抜き、パッキンを取り外す際の動画です。

注意事項

メンテナンスなどでマグネット式ロッドレスシリンダを分解する場合に注意しなければならないことがあります。内部に組み込まれているマグネットはとても強力ですので、内側と外側のマグネットが吸着してしまうと外れなくなってしまいます。あらかじめ強制的に内外のマグネットをずらし、保持力をなくした状態で取り外してください。
組み付けの際にはマグネットの向きにご注意ください。正しい向きで組付けを行わなければスライダの位置がずれてしまい、正常に使用できません。

当社で扱っているロッドレスシリンダ

・メカトロニクス中古品 ロッドレスシリンダ カテゴリ
様々な種類のロッドレスシリンダを取り扱っております。
商品ページはこちら

・技術解説「エアシリンダの種類と用途」
ロッドレスシリンダを含め、数種類のシリンダに関する解説を行っております。
解説ページはこちら

※使用するロッドレスシリンダによっては内容が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

MAGEMAGEとGOIGOIを使った加工例 < 技術解説トップ > CNCを使った場合の木材の接合方法