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「クルマが好きだ!」「ものづくりが好きだ!」匠の心のエンジンは情熱を糧にして回り続ける

2017年05月09日

自動車関連や航空機関連産業が盛んなことで知られる岐阜県。その中の岐阜市に工場を構える「株式会社マエカワエンジニアリング」が設計・製作する削り出しの自動車用チューニングパーツは、クルマ好きの間で高い評価を得ています。マエカワエンジニアリングでは、チューニングパーツの材料に軽量なアルミ合金を用いることがほとんどで、切削加工後にそのまま放置しておくと酸化皮膜が出来てしまい、それが腐食の原因となります。それを防止するのがアルマイト処理なのですが、その処理までをも自社内で行っています。特にカラーアルマイトの仕上がりがとても美しく、高精度なパーツの魅力を一層引き立てているのです。社長の前川一敏様は、製品加工の様子をたびたびFacebookにアップロードされていて、その記事の中で、あの見事なカラーアルマイト処理には当社の「アルマイトキット・彩」を使用されていることを知り、ぜひお話を伺いたくこのたび現場を訪問させていただきました。

"空の町"各務原から西へおよそ8km。国道21号バイパス脇に見える、大型車がすっぽり入るほど大きな2棟続きの建物がマエカワエンジニアリングです。そのうち1棟が部品加工工場で、もう1棟は自動車のメンテナンスやモディファイを行う、いわゆる「クルマいじり用のガレージ」になっています。実は、前川様はチューニングパーツを設計・製作するだけではなく、自社製パーツの取り付けとメンテナンスを自ら行ったクルマを駆って、ラテンフェスタ等のイベントにおける各種レースにも出場される、根っからのモータースポーツマニアなのです。

前川様は、マエカワエンジニアリング創業以前には岐阜市内の歯車メーカーにお勤めされていて、そこでは工作機械や自動車、航空宇宙産業に向けた精密歯車を作っていました。13年勤めたところで独立しマエカワエンジニアリングを設立。今年で創業18年目になるとのことで、これまでの間「自社内で出来ることは自社内で完結」を目指して段階的に設備を増設。現在の主力設備は5軸複合加工機、CNCターニングセンタ(旋盤)、4軸マシニングセンタの3台になりました。これだけの設備があれば、出来ない切削加工はほぼありません。工場では、前川様と息子さん娘さんの親子3人で役割を分担して、設計、段取り、加工、表面処理、検査、出荷を手際よく行っています。

自動車の車高調整キットに使われるロックナットや、FIAT500用のシリンダーヘッドカバー、エアコンのダイヤルリング等の製品がずらっと並んでいます。汎用的なパーツではA5052、A5056を使い、強度を要するパーツにはA2017(ジュラルミン)、時にはA7075(YH75:超々ジュラルミン)を使用しています。どれもこれも、挽き目が美しくお仕事の丁寧さを感じます。

マエカワエンジニアリングでは、構想を決めたらそのまま3次元CADで設計を行い、絵を描きながら他部品との嵌合具合を計算し、ツール干渉を考慮し製品精度と細部の造りを煮詰めていきます。その過程で、使用する切削工具の最適化までを行いカッターパスを作成。加工精度は社内設備のスペックに委ね、最後の表面処理まで自社内で行うため紙図面を出力する必要がなく、作業の流れに無駄がありません。

機械が並ぶエリアの奥に「アルマイトキット 彩」がありました。

アルマイト処理のDIYキットは、当社の「彩」の他にもいろいろなものが販売されています。その中で「彩」を選ばれた理由を前川様に伺うと「オリジナルマインドのアルマイトキットには電源装置がついてくるので、セットアップが容易ですぐに使えるメリットがあったから」とのことでした。3年ほど前にご購入いただいて以来、「彩」は毎日働いているそうですが、最初は処理に失敗してしまうことがあったようです。白アルマイトならばその失敗も目立たないのですが、カラーアルマイトでは際立って目についてしまいます。
失敗の原因としては、

  • 温度のコントロール
  • 脱脂不足
  • 電極の接触不良(製品との接触、枠との接触の両方)

が挙げられますが、これは付属の説明書に忠実に従うことで回避できるもので、前川様は常に安定した色味が出せるように、もうひと工夫されていました。

それは「処理前に製品の肌をごくわずかに一皮剥くこと」。そのために、一旦製品を苛性ソーダに漬け、次いで希硝酸に漬けて中和してから水洗いを行いアルマイト処理をするという手順を踏みました。ただし若干つや消しの状態になるため、つやを生かしたいときには希硝酸のみの使用が好ましいそうです。これはとても勉強になりました。

他にも電極と製品の接触不良を防止するためにブッシュを作ったり、接点跡を目立たせないために、製品の機能を損ねない部分にザグリを入れて、そこに接点を取るといった工夫もされています。

マエカワエンジニアリングでは旧車に見受けられる経年トラブルを解消すべく、オーナー向けにさまざまなパーツを作り出しています。こちらの大きな製品は、ランチア・デルタ用に作られたエンジンロアオイルパンです。これはランチア・デルタのオーナーさんに好評で、作れば数日で完売してしまうほど。「こういうモノを待ち望んでいた」という喜びの反応ですね。このサイズの製品でも「彩」でのカラーアルマイトで全面にまんべんなく色が入っています。封孔処理では専用のステンレス槽を自作し、製品一個につきカセットガス一本の消費ペースで煮沸を行ったそうです。

アルマイト処理を終えた製品に仕上げのマーキングをするのは、レーザー加工機のお仕事です。このレーザー加工機は、発振器の交換によってCO2とファイバーの両方が使えるモデルで、あらゆる材料への加工が出来る優れものです。

こちらのクイックシフターへのマーキングや...

先ほどご紹介したエンジンロアオイルパンのドレンボルトへのマーキングなど、カラーアルマイト製品のカッコ良いアクセントにもなっています。

事務所の隅には3Dプリンターがあります。1個2個のちょっとしたパーツの造形に使っているようです。

加工工場を後にしてお隣の「クルマいじり用ガレージ」へ。ドアを開けた瞬間目に飛び込んできたのは、ショーケースにきれいに収められた大量のミニカー。ほとんどがレーシングカーで、前川様がモータースポーツマニアである十分な証拠ともいえるでしょう。とにかく圧巻な光景にこちらもワクワクでした。

ガレージには、溶接機、ブラストマシン、シャーリングといった機械がならびます。加工工場の設備と合わせると、マエカワエンジニアリングで作れないモノはないのでは?と思います。自動車のエンジンや足回り等の手入れでは、必要に応じてパーツを自作することがあると思いますが、まず「自分が必要だと思ったモノを自分で作る」ことからはじまり、それを知った方が同じモノを求めて前川様がそれに応える。そして「こんなモノが欲しかった」「これはとても調子いいよ」「取り付けてよかった」と徐々に評判が広がり、そこで喜びを分かち合うことにもなります。これはものづくりの楽しさの一つであり、次への創作意欲の源にもなります。こうしてオリジナル製品の誕生につながっているのだなと察し、「必要は発明の母」という有名なことわざが何度も頭をよぎりました。

創業した頃のマエカワエンジニアリングは、ジェットスキーを競技用に改造するお仕事がメインだったそうです。それが時代の流れで下火になりやがて手を引くことに。もともとエンジンで動く乗り物の取扱いを得意とされていた前川様は、現在のチューニングパーツ製作を事業の柱に変えていきました。その最大のヒット商品が「レデューサー」でした。

レデューサーは、ブローバイガスと呼ばれる、燃焼工程中にピストンとシリンダーの隙間からクランクケース内に漏れる未燃焼ガスを適正化する流体制御器です。従来から「ワンウェイバルブ」と称した他社製品もありますが、前川様が考案された制御方式はリードバルブ方式で、試作の結果、従来品と比較してレスポンス、トルクの向上が大きく見られたことから商品化に踏み切ったということです。製作にあたっては「うるさい人を黙らせるために、クオリティを上げることにひたすら徹した」といいます。

マエカワエンジニアリングのレデューサーの噂は、実際に装着して効果を実感したアルファロメオやハイエースのオーナーさんらの口コミで急速に広がり、遂にはカリスマブロガーによる情報拡散によってたちまち大ヒットに至ります。「ネットの力はすごい...」前川様にとっては驚きと感心の毎日だったようです。その後、地元の自動車整備工場や、オフロード系の有名なパーツメーカーでも取り扱っていただくようになり、現在も人気商品のトップです。

自動車を、そしてモータースポーツをこよなく愛し、その情熱がそのままものづくりに活きている前川様。お仕事の傍らでは、ガレージで愛車FIAT500のレストア作業をされています。この作業を通して自作した部品は数知れず、その中で商品化して限定販売されたものもあります。先にご紹介したシリンダーヘッドカバーもその1つです。

他にも、レース用に改造したランチア・デルタがありました。あの鮮やかに染まったエンジンロアオイルパンは、このクルマのメンテナンス中に生まれたモノなのですね。必要を感じ作る喜びが出来たモノを使う喜びに変わり、それをお客様と分かち合うことで喜びの輪が広がる...。素晴らしき波及効果です。だからものづくりはやめられませんね。

趣味だけではなく仕事としてのものづくりを継続していくには「好きでなければ続かない」のは当たり前で、では、好きでい続けるために必要なのは何だろうと考えたら、「技術」と「情熱」。これに尽きる気がします。今回現場におじゃまして前川様のお話を伺いながら得たものは、「ものづくりをする上で必要な技術と情熱はいつも一対で、ともに支え合い相互的に向上させるものなのだ」という信条でした。本当に良い現場を見せていただき大いに刺激を受けました。我々も、前川様の情熱に倣って「作る喜び、使う喜び」を分かち合えるものづくりに、一層勤しんでまいりたいと思います。ありがとうございました。

株式会社マエカワエンジニアリング
http://maekawaengineering.web.fc2.com/

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