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地元の木材を無垢のまま活用!!Made in JAPANのブロック玩具

2016年10月03日

「もくロック」という木製のブロック玩具をご存知だろうか。
無印良品や、雑貨店、インターネットなどで一度は見たことがある人も多いのではないかと思う。

もくロックは、無垢の木材を削り出してつくられたブロック玩具である。使い手のアイデア次第であらゆるカタチを組み立てるができる。「子ども達の心を育む」というその製品コンセプトからも、小さな子をもつ親子さんたちに特に人気だ。また、コンセプトストアなどでも販売されており若者層にもインテリアとしての人気が高い。

...その見た目から「木製のLEGOブロック??」そんなことをついつい思ってしまう。私も大変失礼ながらはじめはそう思っていた。

しかし、あなどるなかれ。

開発背景を知れば知るほど、無垢の木材でブロック玩具をつくるということは想像以上にハードルが高く、課題も多いということがわかってくる。同時にその魅力も。もくロックは多くの課題を長年の試行錯誤の末に乗り越えて、無垢の木材が持っている魅力をそのままに製品化されたものなのだ。ゆえにもくロックはオリジナリティに裏打ちされた唯一の玩具だといえる。では、いったいこの温かみ溢れる木製のブロック玩具は開発者のどんな思いから生まれ、またどのような課題を乗り越えて誕生したのだろう。

場所は米沢牛で有名な山形県米沢市。その地に本社を置く株式会社ニューテックシンセイ(以下、同社)さんに取材にいってきた。

(写真右:桒原社長、左:山岸さん)

同社は昭和55年より創業、以降は地元大手企業の協力工場として事業を営んでた老舗企業だ。しかし、生産拠点の海外シフトなどで仕事が減っていくのではという危機感から、新たな事業を模索していたという。そこで、地元米沢の豊富な木材資源を活用して何か新しいことができないかと考え始めた(当時豊富な木材があるにも関わらずそれを活用している事業は地元にほとんどなかったのだという)。もくロックはそうした着想から、同社桒原社長の発案によって、2010年頃に責任者である同社山岸さんに託された開発事業であった。

会社の階段には無垢の木材を使用した自作の壁面が作成されており、地元の木材に対する愛情を感じることもできた。

無垢の木材はそれ自体が生きている素材だ。ゆえにその素材の魅力を維持しつつ、製品化しようとした時にあらゆるハードルが存在する。その中で最も大きな課題が「湿度で伸び縮みしてしまう」ということであった。木材は精密に加工しても、無垢のままだと経年変化や環境によって寸法が平気で変化してしまう。もくロックのように、購入者がブロックとブロックを噛み合わせることで意味が生まれる玩具にとってこのことは致命的な問題であった。しかし、その変形を抑えるためなどの目的で木材の加工後に薬剤を塗装するなどの後処理はどうしてもしたくなかったという。その無垢の温かみや繊細な色の違いを生かしたままで、ブロック玩具にしたかったのである。ただ、開発当時この問題を同社は自力で解決して行くしかなかった。なぜならば、地元に豊富な木材資源があるにも関わらず、それを活用した事業を行っている企業が当時ほとんどいなかったからだ。そんな状況のなかでは、適した木材を仕立ててくれる仕入れ先もなければ、当然ノウハウを提供してもらう相手も見つからない。そこで、同社は地元の大学や工業技術センターに目を向け、開発協力を仰ぐことにした。

「伸び縮み問題」を解決すべく、使用する木材自体から開発を行い解決を図った。それは、加工前の木材を丸太の状態で仕入れ、地元の製材所で角材にしてもらい、その後自社で適度なサイズに加工した後に、同じく自社の湿度管理環境で半年間乾燥させ、木材に含まれる水分分布量を均等にするというものであった。これによって、伸び縮みはするものの(素材の特性上それは変えられない)、加工後の各ブロックが均等に伸び縮みするようになり、ブロックの噛み合わせがズレてしまうということを極限にまで抑えることに成功した。ここまでの開発努力をした上で、「製品の特性上形が湿度によって多少変形します」とお客さんには正直に伝え、「素材自体が生きていること」を製品の魅力ともしている。

さらにこのもくロック、実はその加工環境がとてもおもしろい。無垢の木材をCNCにより切削加工しているのだが、なんとたった4ピースを削り出すのに30分もかかるのだ。木材の長期乾燥から、30分で4ピース...これを見ても販売価格がいかに良心的であるのかがわかる。そんなわけで、どんなに高性能でも一台のCNCマシンではとてもじゃないが生産が追いつかない代物なのだ。そこで同社は、同時に複数台のCNCを動かすことでこの問題を解決した。その台数なんと40台(2016年現在)なのだそうだ。しかも、この40台のCNCすべてが自社開発した機体だという。後に触れるが、当社からご購入いただいたCOBRAを改造した際の経験がとても役立ったという。(工場風景は企業秘密ということで残念ながら取材することはかなわなかった...)

取材の後半で、開発責任者の山岸さんに「つらかったことなどはありましたか??」と聞いたところ「あんまりなかったかもしれない」と笑いながら話してくれた。これほどの事業、当然つらいことがないわけがないのであるが、おそらく大きな壁にぶつかった時なども、それをつらいと感じないほどにもくロックの開発に没頭していたということなのかもしれない。なんて素敵な方なんだろうと思った。また、山岸さんは当社のCOBRAというCNCをだいぶ以前に購入してくれていた。そのCOBRAを改造したCNCで、もくロックの試作開発を行ったのだという。「どんな風に改造したんだろう?」と興味があったので、そのCOBRAを見させていただいたのだが、「!!!」取材班はその見事な仕上がりに驚きを隠せなかった。COBRAのメカ設計を徹底的に分析し、熟知した上でA3サイズの素材を加工できるように改造が施されていたのだ。ここまで見事な製品改造は今まで見たことがなかった。

山岸さんの豊かな人間性がなければおそらくもくロックは生まれ得なかったのだろうと、私たちはこの改造されたCOBRAを見て確信した。その節々にまで細かく配慮された改造が、山岸さんの一つのことに対して実直に向き合う探究心と丁寧さを物語っていたのである。またふと、話しを聞かせていただいている最中、こうした山岸さんの徹底した仕事へのこだわりを支えているのは、その内に秘められた童心なのではないかということも思わされた。夢中になれるほどの童心がなければ、ここまで見事な改造はできない事は、開発した私たちだからこそよくわかる。そういったこともあり、開発について聞いたときに「つらいことはなかった」と山岸さんが私たちに話してくれた時にも、妙に納得できてしまう部分もあった。山岸さんにお会いして改めて思ったことがる。ものづくりはやはり人なんだということだ。素晴らしいプロダクトなり製品には必ずと言っていいほど山岸さんのような豊かな人間性を持った開発者と、そこに事業指揮を委ねてくれる桒原社長のような支えが存在している。微力ながらもこうした素晴らしいつくり手の方々のチカラになれていることが、当社としては何よりも嬉しかった。

そのシンプルな見た目とは裏腹に、こうした開発背景がある「もくロック」であるが、機会があれば実物をぜひ手に取ってみていただきたい。というのも、ただ温かいだけではない、その繊細な色彩肌が「美しい」のである。この色は実物を生で見なければおそらく伝わりにくいものだと思う。
こうした色の違いが生まれているのには理由が二つある。一つ目はこれまでお伝えしてきた通り、無垢の木材だから同じ木でも箇所によって色が違うのである。さらに、二つ目の理由は、ほお、けやき、かば、しで、かえで、さくら、と地元山形で育った六種類もの木を使用しているということにある。普通生活している中で「木って茶色でしょ??」程度の認識でしかいなかった私はこの精細な色彩に目を奪われてしまった。

また、このもくロックは単体のブロック玩具としてだけではなく、木の家やテーブルなどもセットにした、無垢の木材で遊べる「環境自体」を幼稚園などのコミュニティを対象として販売もしたり、派生グッズをつくったりとその世界観をより広げてブランディングがされている。飾り気もなく、見た目もシンプルで小さなもくロック。しかし、そこには確かな開発努力と製品としてのクオリティがあるからこそ、その世界を広げていけるのだろう。社会が豊かになってきたにつれて消費者も「モノ」ではなく「思い」や「経験」など、カタチではないものを欲する時代になってきている。そんな中、このもくロックという製品は、その美しい見た目以上に、手にして遊ぶことで感じる温かみなどあらゆる経験的価値を持っている。

今後ますますこの素晴らしい製品が世の中に広がっていくことを私たちは願っている。

PS:取材後に某SNSでもくロックのことをつぶやいたところ、知人から「子供に買ってあげたい!どこで買えるの??」「俺そのブロック持ってる!」などなど関心の声をいただき、なんだかとてもうれしく思ったのであった。

製品サイトはこちら:「日本製の木のおもちゃ!無垢材の木製ブロック『もくロック』
撮影させて頂いた写真一覧はこちらからご覧になれます。

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