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美しくて温かみのある作品を作り続けるParadiseさんに会ってきた!

2016年03月29日

ものづくり文化展2013で最優秀賞を受賞されたParadiseさんのご自宅に取材に伺った。実はこの記事を書いている今日は、取材した日からもう何か月も経過してしまっているのだが、いまも鮮やかに思い出すのは、Paradiseさんの作品や写真、ご自宅やその周りの景色まで「何もかもが美しかった」ということ。まずはその美しい作品から見ていただきたい。

ご自宅に伺ってまず最初に見せていただいたのが、ものづくり文化展2013の最優秀賞受賞作品である「木製ブルドーサー」。この作品のモデルとなったのは、Paradiseさんが以前大阪湾の埋め立て地で検査の仕事をしていたとき、近くの工事現場で動いていたというキャタピラー社のD6R3-LGP型湿地用ブルドーザーだ。日本のブルドーザーとは違ってすごく迫力があり、その力強さに魅せられたのがつくろうと思ったきっかけだそうだ。しかし、つくると言っても設計図があるわけではない。だからその時の記憶とネットからの資料を手掛かりに寸法を割り出したのだそうだ。作品を見ると、そうとは思えないほど綿密に再現されていた。しかも、単なる置物ではなくモーターが内蔵されており、リモコンで自在に動くようになっている。さらにすごいのは、無限軌道(クローラー)の履板(シュー)が、平板ではなく立体形状になっていることだ。Paradiseさんはこれを自作のCNCで3次元加工をしてつくった。その数なんと84枚。数が多いからCNCがとても役に立ったという。

これは、Paradiseさんのいちばんのお気に入りの作品「木製T型フォード」。以前自動車の整備士をしていたそうで、もし自動車の模型をつくるなら、世界で最初に量産された「T型フォード」と決めていたという。だが、これも設計図があるわけではないので、ネットから膨大な数の写真や資料を集めて寸法を割り出したそうだ。作品を見るとわかるが車体の裏側の構造部分まで細部にわたって見事に再現されており、とても設計図なしでつくったとは思えないほど高い完成度であった。さらに車体の裏側を見てほしい。リーフスプリングがあるのがわかるだろうか。これはなんと掃除機の中の電源コードを巻き取るバネを活用したのだそうだ。動画の通り、この車体を下方向に押してみると、ちゃんとクッションとして機能していることがわかる。さらに、ボンネットをあければエンジンが搭載されていたり、ハンドルを回せばちゃんとタイヤが動くようになっていたりと実にリアルだ。そのうえとても美しいからいつまでも見入ってしまう。設計図も既成パーツもないところからここまでこだわり抜いて作品をつくる人はなかなかいないだろう。

これはマーブルマシン。このコンパクトなトレイの中に5つものマシンが組み込まれており、たった一つの動力でその5つのマシンすべてが連動するようになっている。実際に動くところを見せてもらったのだが、ビー玉がいろいろなアトラクションに乗っているような感じが面白くてずっと見入ってしまった。ビー玉がどこかに飛んで行ったり引っ掛かったりすることもなく安定して動き、しかも、どこにも渋滞することなく均等に動いていた。YouTubeにはマーブルマシンの動画はたくさんあるが、これほど完成度の高いものはなかなか少ないのではないだろうか。ちなみに、このマシンを駆動しているのは42ミリ角のステッピングモーターだった。これほどたくさんの機構を動かしているのに、こんなに小さなモーターひとつで動いているということは、無理なくスムーズに動く設計と調整がされているのだと私は思った。

ほかにもいろいろと見せていただいたのだが、Paradiseさんの作品の特長は、機構そのものはメカメカしいものであっても、素材に木を使っているため温かみが感じられるところだ。どれも動くようになっているが美しいので置物としても魅力がある。ちなみにParadiseさんは、左上の写真のテオヤンセン機構を用いたロボットのCADデータをご自身のWEBサイトで公開されていらっしゃるので、参考にしたい方はご覧になってみてはいかがだろうか。左下と右下の写真は非円形の歯車が回転するおもちゃ。ハンドルを回すとすべての歯車が一斉に回転しだすので見ていて面白い。ちなみにParadiseさんの使っている歯車製作のソフトは、Woodgears.ca(ウッドギアーズ・カナダ)のGear template generator($26)だそうだ。

これはParadiseさんの自作CNC。とても素晴らしいのが水玉模様のカバー。ベルトコンベアのような構造になっており、Y軸の動きに連動してカバーが動くようになっている。動力なしで防塵ができるのは魅力だ。加工テーブルにはMDFの板が取り付けられているが、これは材料の固定を貼り付けではなくネジ止めで行うためだ。ネジ止めで材料の固定を繰り返しているとMDFがネジ穴だらけになるが、そうなった場合は交換するそうだ。MDFは安価なので気兼ねなく交換できる。Paradiseさんの作品の多くはこの自作CNCから生まれている。

右下の写真は集塵機。むかしの掃除機なのだそうだが、切りくずは掃除機には溜まらず98%は緑色のペール缶に溜まるため紙パックを交換する必要がほとんどないそうだ。とても役に立っているという。

Paradiseさんの作品はどれも美しいが、ご自宅や周りの景色まで美しかった。Paradiseさんのお住まいは大阪の久米田というところにある。取材当日、駅まで私を車で迎えに来てくださったのだが、ご自宅に向かう途中、久米田池という池の周囲を通った。大変美しい池で「溜池100選」にも選ばれているという。この池には毎年百種類以上の野鳥が訪れるそうで、Paradiseさんはその野鳥を撮影する趣味もお持ちだ。撮影された写真はどれも美しく、それらはParadiseさんのWEBサイト「岸和田の野鳥たち」から見ることができる。

Paradiseさんはこのように、ものづくりの他に野鳥撮影の趣味もお持ちで、話を伺ったら、アマチュア無線もやっていたそうだ。多才な上に、どれも徹底的にこだわりをもって取り組まれていた。今回見せていただいた作品も、どれもが美しく、私はそれらを多くの人に見ていただきたいと思いたくさん写真を撮らせて頂いた。下記リンクにアップしてあるので、ぜひご覧になっていただければと思う。

撮影させて頂いた写真一覧はこちらからご覧になれます。

ParadiseさんのWEBサイト:CNCの自作とCNCで作る工作 / 岸和田の野鳥たち / パラダイスの趣味工房
ものづくり文化展2013にご応募いただいた作品 CNCで作るRC木製ブルドーザー / CNCで作る木製T型フォード
ものづくり文化展2014にご応募いただいた作品 マーブルマシン
ものづくり文化展2015にご応募いただいた作品 B-ROBOT 3号機 mini / アクリル板で作る超小型無限軌道車の製作 / アクリル板で作るテオヤンセン・メカニズム

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