まず、手が塞がった状態でも口を用いて様々な機器を操作できるコントローラというアイデアを、形状や実装方法に関するプロトタイピングとテストを繰り返すことを通じて発展させ、完成度の高いコンセプトプロトタイプとして実現できています。また、このコンセプトが実際に有効であることをパーソナルモビリティWHILLなどを用いて示しています。くわえて、スマートフォンの普及などの影響により安価に入手できるようになった電子部品を用いて実装されており、今後製品化に向けて進めようとした場合の実現性がかなり高いと思われます。

なにより、マイナスをゼロにするために支援するコントローラという発想になりがちな文脈において「口で電子機器を操作できる快感」というプラスの価値を提案しているところに共感しました。これは、ユーザと共にテストを繰り返したからこそ見つけられた新しい視点であり、社会に対する価値提案になる可能性を感じています。ぜひ、今回の受賞をきっかけにWHISTLEを製品として実現し多くの人々に届けてもらえたらと思います。